クシム、Zaif親会社を子会社化

ブロックチェーン事業を展開する株式会社クシムは21日、暗号資産(仮想通貨)取引所Zaifを運営する株式会社カイカエクスチェンジの親会社である株式会社カイカエクスチェンジホールディングスの株式を取得し、連結子会社化することを発表した。株式取得は10月31日に実施予定としている。

この経営統合により、カイカエクスチェンジおよび仮想通貨のレンディングサービスを提供する株式会社カイカキャピタルも連結対象となる予定だという。

東証スタンダード市場に上場しているクシムは、同じくブロックチェーン事業を展開するチューリンガム株式会社を2022年3月に連結子会社化している。そのチューリンガムは2023年4月にカイカエクスチェンジと提携し、Zaifの開発プロジェクトマネジメントや仮想通貨の新規上場対応業務を支援してきた。

Zaifを活用した事業戦略

今回に発表に伴い、クシムは以下の事業戦略を実行するとしている。

  1. バリューチェーンの垂直統合展開によるポジショニング
  2. 垂直統合展開による外部ネットワーク連携上の効果
  3. 先進的なサービスの提供
  4. Zaifのバリューアップ施策

1については、両社の経営統合により、子会社のチューリンガムが「トークン企画・発行」を、Zaif(カイカエクスチェンジ)が「上場審査→プライマリー→セカンダリー」を担うことにより、トークノミクスのバリューチェーンをグループにてワンストップで実現できるとした。

また、クシムは、米国のコインベースやバイナンスに代表されるトークン企画発行機能と暗号資産交換所機能の両方保有する国内法人は確認できないため、差別化したポジショニングができると述べている。

2について、自社グループが交換所機能を有することで、チューリンガムが「トークン企画/発行」機能による案件組成を行う際にIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)の実施までの期間を短縮できるとした。

3について、チューリンガムのサポートにより、Zaifにおけるステーキングサービスの提供やWeb3サービスを提供する外部パートナーとの高度な連携、ステーブルコイン発行事業会社との提携などが可能になるとした。

4について、Zaifの現システムの刷新、具体的には「機能的で効率的なシステム設計による高コストなオペレーション体制からの脱却、海外の先進的な取引所システムを参考にした機能やUI/UXの導入」を挙げた。

これにより、コストの削減による収益性の向上と同時にBTCの板の出来高の増加、ETHのサービス拡充などが可能になると説明している。

カイカエクスチェンジの財務状況

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の会員は、同協会が定める通り財務健全性指数が100%を下回ることがないよう当該指数を維持しなければならない。

財務健全性指数とは、毎⽉末⽇を基準⽇として、固定化されていない⾃⼰資本の額の、市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の合計額に対する⽐率のこと。

会員であるカイカエクスチェンジの現在の財務健全性指数は131.3%であるが、同社のシミュレーションでは 2023年10月には一時的に100%を下回る可能性があるという。100%を割ると直ちに業務停止等の問題発生に直結するわけではないものの、数値に余裕をもつことで市場環境の変化やサービス提供方針に柔軟に対応していきたい考えから、カイカエクスチェンジでは財務健全性指数120%以上を基準としていると説明。

クシム社は当該比率が十分に維持されていることを今回の株式取得の前提であると付け加えた。

関連記事:Zaifとは|カイカグループの傘下入りで強化されたサービス群を解説


参考:公式発表1

参考:公式発表2

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